9月18日、国交省が7月1日時点の基準地価を発表しました。
「日本の土地資産が、27年ぶりに上昇に転じた。」との報道です。
「東京都心部の地価は、平成23年から安定上昇している。」ことは、このコラムで継続してお伝えしてきましたが、今は、「第二次土地神話」と考えておられる方が出始めています。
2020年以降を心配される方もありますが、都心部の土地に関しては、主要ターミナル駅付近に「夜が復活する」等の話題と共に「再開発競争」が激しくなっていて、「既に2020年以降の需要が始まっている」との見方をされる方が少なくありません。
都心の資産価値が安定したことで、長期的に安定した果実が見込めることと併せて考え、20年以上眠っている「在需要が動き始める」かもしれません。
地価の安定上昇は今後も続くと考えます。
土地バブルの心配をされる方がありますが、このコラムで度々お伝えしていますように、投資に対する金利負担(バブル期は4倍以上)と投資利回り(バブル期は1/2以下)が全く違います。(バブル期の金利は、果実の3~5倍)
今、注目しなければならないことは、地方に買い手がいなくなった売地があるように、首都圏でも、大学生の都心志向からキャンパスの都心回帰が進み、若年層の都心移住が進んでいることです。
都心には「面白い」「なんでも選べて安い」「便利」「安全」があるからです。
そんな中、都心の学生向けの低賃料住宅が減り続けています。
私たちの調査(当コラム)からも、9割以上の方の住宅費予算が、5万円〜8万円なのに対し、都心部の新築ワンルーム供給は、18m2くらいが標準で、賃料は10万円以上です。
そのため、多くの方は”安全に問題がある”ことを知りながら安い部屋を求めます。
結果として、危険な建物の建て替えが進まない原因の一つとなっています。
又、「税金を払わない」「マナーが良くない」との理由で、若い方を排除されている地域は、「大災害時に直ぐ対応する人が少なくなっている」心配が出始めています。
若い方々は消費しますし、丁寧に教えてあげればルールを守ってくれます。
学生さんの住まい探しのポイントは、「地域」と「家賃」が第一優先で、次に、独立した「安全な部屋」です。
広い部屋は現実的ではないため、狭い空間を上手く使う工夫をしています。
次の時代を背負って下さる”若い日本の宝”の負担を少なくしてあげたいものです。
熱帯低気圧の変化による豪雨と強風は、もはや「過去に例がない」、「想定外」と言えなくなってきています。
東日本大震災では崩れるような地下鉄の被害はありませんでしたが、もし、豪雨と重なり、ラッシュ時であったら、閉じこめパニックの状況が一変していたでしょう。
高層住宅が多くなっていますが、直後の避難、生活への対応はあまり報道されません。
老朽化マンションの安全度等、知れば知るほど課題の大きさに驚きます。
緊急時通信も課題です。東日本大震災時、当社ビル前公衆電話に長蛇の列ができました。
私たちは、東日本大震災直後に、大津波に対応する街造りとして、下記の提案をしてみましたが実現はハードルが高いようです。
「他国から学ぶより、自国を知ることが難しい。」と言われますが、日本は、自然環境変化への対応を多く学んできました。どん底から尊敬される国になりました。
日本の国土の2/3が森林であることから、木造化への法整備も進んでいます。
しかし、木の特性(例えば比重)を長い年月をかけ学び、進化してきたきたことが忘れられているようで、林業再生も地方の活性化もなかなか進みません。
比重: 鉄=7.85 コンクリート=2.3 ヒノキ=0.41
私たちは、予測出来ない降雨に備えて、1階の床高を通常より10センチ程高くし、土台、構造材、床材等は、水に強い国産ヒノキを使用しています。50年安心をお約束するためです。
一昔前は、「貸すと大切に使ってくれないから安作りでいい。」という方もあったようですが地下は土と石、地上は木を基本に劣化等級2、住宅瑕疵担保責任保険を提供して、貸す人も借りる人も50年「安心という贅沢」をいていただくのが夢です。
コンクリートの中で、イライラしないで、木の家の安らぎの提案です。
私たちは、古い建物密集地の安心のお手伝いもしています。
少子化により細り続けている地方のアパート事業への過剰融資に加え、不透明な融資のあり方が問題になっています。
バブル崩壊時のように「一斉に貸し渋りが始まるのではないか」と心配しておられる方もあります。
しかし、多くの金融機関は、融資に積極的です。
個人へのアパートローン審査は厳しいようですが、不動産貸付業法人への融資については、大きな変化はないとのことです。
私たちは以前提案しましたが、都心部の地価が安定している今こそ、「二番抵当公的保証」は、検討の余地があるように思います。
専用住宅と同じように、低金利で35年ローン対応できる「貸室付住宅」は、その昔でいう「下宿」ですが、私たちの調査で、都心の貸室付住宅の潜在需要は想像以上でした。
既に、小規模なものを5棟スタートしました。
「老後の安心生活スタイルの一つ」になるのではないでしょうか。
■都心不動産最前線情報
◎都心部の土地資産(超都心と郊外を除く)
地震、雨、風、気温は、想定外・異常気象では済まされなくなっていることもあり、古い木造住宅・アパートの取り壊しは急ピッチで進んでいます。
残念ながらRC建物の建て替え、特に区分所有建物の建て替えは簡単ではないようです。
インフラ整備・再開発も安全を重要視しながら順調に進んでいるといえます。
超都心の公開売地情報は、3年程前からほとんどなくなり、私たちに入ってくる物件も、地域によっては数日で売買が成立するケースが多くなってきました。
昨年後半からの取引停滞感も半月程前から「安心」に戻り始めています。
9月からは「期待」に変わるのではないかと予測しています。
◎耐震・防火仕様の建築代
安全基準の厳格化、人工代上昇で、東日本大災害後毎年2〜3%程上昇を続けています。
木造新国立競技場の形が見えるようになったことで、木造建物への「注目」が「興味」に変わり始めたようです。
◎都心部の賃貸料(超都心と郊外を除く)
バブル崩壊時は、地価下落より少し遅れて賃料下落が始まり、リーマンショック前に安定しました。結果として小型ワンルームの下落は、10年程の間に10%〜20%の下落でした。
(商業系は、もっと下落が大きかったようです)
東日本大震災後も、1年〜1年半で5%前後下落しました。
(私たちが販売した物件は、震災被害はありませんでしが空室期間が少し長くなりました)
小型アパートの現状は、上京学生・若年層サラリーマンの都心志向に加え、外国からの観光客等の増加で、2年程前から上昇傾向です。
現在空室率が10%以上の物件は、問題点を知ることが重要です。
シェアハウス、民泊は、住民間・近隣住民とのトラブルの他、先送りされている安全条例との問題があることから不透明といえます。
全体的には、安全基準を満たした物件と古い建物との空室率が拡大しています。
〔注〕賃貸市場の募集時期について
12月〜3月‥需要が多いため、決まらないのは賃料設定に問題があります。
5月〜10月‥賃料の適正に関係なく募集期間は長くなります。
人生100歳時代に向け、70歳から30年ローンの時代が来るかも知れません。
私たちは、その日のために「100年安心住宅・100年安定果実」を目指します。
私たちは、日本の林業活性化のお手伝いをしていきます。