都心不動産最前線
“短期間に何百兆円も動く日本の土地資産”

土地資産の実勢価額は、短期間に“日本のGDP494兆円”(2008年)に匹敵する程動いていることがあります。

■土地実勢価格の変化
土地実勢価格は、所在地・法規制、形状・環境、権利関係、時代背景で大きく変ります。
(以前は、路線価と公示価格を基準に、近隣取引事例で決めていました。)
このコラムで使用する価格は、業界の最前線で30年以上、多くの取引に携ってこられた方々へのヒアリングを参考にし、当社のスタッフが客観的に判断した推定価格です。
土地面積については、官庁資料、都市計画図、ゼンリン地図をもとに概算したものです。
民地割合については、官庁資料、ゼンリン地図と現地調査で得た概算数字です。

例1. 新宿通りから都心商業地実勢価格を推測
新宿駅東口から四ツ谷駅までの新宿通りは、2.7㎞です。両側30mまでのすべての土地は商業地域に指定されていて、総面積は約49,000坪です。
その内約32,000坪が民有地とすれば、民有土地資産は下記のようになります。

参考:価格の違いはありますが、このような商業地域は、新宿区だけで上記の25倍に相当する80万坪くらいあります。新宿区の面積は都心5区の約24%です。

例2. 杉並区松ノ木地区から東京区部の専用住宅地実勢価格を推測
松ノ木地区は、杉並区の約66分1ですが、東京23区内の平均的な住宅地です。
この地域の住宅地価格を基準にすると、杉並区民有地全体の資産は次の様になります。杉並区の総面積は約1,000万坪、内民有地は680万坪余りです。

参考:都心5区=約2,278万坪  東京23区の総面積=約1億8,800万坪
杉並区の民有地=東京23区総面積の3.6%
新宿通り民有地=東京23区総面積の0.017%


■土地利用状況と利回りの変化
 建付地の割合及び高度(容積)利用状況=ゼンリン地図と現地調査で概算。
 平均階高=航空地図と現地調査で推定。
 専有面積の割合=建設プロジェクトの一般的な算出方法による。
 賃貸金額=賃貸・管理業者へのヒアリングによる平均推定額。
 建物価格=当該時期の建築代相場を50%減価償却したとして算出。
当該時期平均建築代相場(坪)×1/2(償却後)×建築面積(専有控除前の面積)
 自家使用分については、賃貸した場合の想定賃料

土地が、安定果実を得る資源となるためには、取引が安定していなければなりません。
しかし今、東京の土地実勢価格は極めて不安定で、取引の成立が難しくなっています。
最大の理由は、
売り手「あまりにも安いので、売るのを見合わせる。」
買い手「買い時だと考えているが、思うような融資が受けられない。」

平成22年1月29日 銀河バンクより